2014年12月25日木曜日

カーニュシュルメールのノエル

南仏の小さな町、我らがカーニュシュルメールにもノエルがやってきました。
ノエル(Noël)はフランス語でクリスマスの事です。

12月半ばで気温が18度の日もあり、
暖冬の記録を更新した今年。
加えて11月は3分の2くらい雨だったのではないかという変なお天気で
楽しく年末を迎えられるのか心配でしたが、
2週間ほど前から天気が良くなり、
先週からはぐっと冷えるようにもなりました。

まあクリスマスと言ったらこのくらいは寒くないとね。

ヨーロッパのクリスマスで欠かせないのがクリスマス市場!
有名どころではストラスブールので、
最近では東京に出張に来てくれているらしいですね。
フランス語ではマルシェ・ド・ノエルです。

南仏にももちろんクリスマス市場はありますが、
とある現地の人に言わせれば、
「10年前はこんなの無かった。発祥の地とは関係ないし、商業的。」
とのこと。

まあ確かに青い空と青い海に囲まれて、
無理やり雪化粧されているクリスマスツリーはなんだか不思議な光景。

・・・という違和感にも早々に慣れ、
やっぱり人間っていうのは楽しい方へ流れるのは簡単なようで、
私自身もクリスマス市場が出るようになると年末気分でルンルンです。

さて、市場では何が売られているのでしょうか。
ニースで見てみると、おもちゃ、帽子・マフラーなどの衣料小物、指人形みたいなぬいぐるみ
伝統っぽい(?)ケーキ、ソーセージ、フォアグラ・パテなどの瓶詰めetc・・・
に加えて、綿あめ、リンゴ飴、チュロス、ソッカ(ひよこ豆のクレープ)といった
歩きながらつまめる美味しいものや、
ホットワイン、シャンパン、牡蠣のスタンドも。
2009年の頃は、東南アジア系の人が日本刀を売っていたり、
韓国のヘアアクセサリーやさんが出ていたりと、何でもありな風でしたが、
今はもうちょっと「クリスマスっぽいもの」の縛りをきつくしたのかな?という感じです。

正直、売っている小物などは、何もここで買わなくても・・・っていうのが多いのですが
まあそうは言ってもイルミネーションがいっぱいで、
人出も多く賑わう中、ホットワインでも飲みながら
ぶらぶら散歩するのは、なんだかんだで悪くないものです。

とここまでおおむね、私が見てきたニースの光景をもとに書いてきたのですが、
カーニュシュルメールに来るとまた雰囲気が変わります。



12月に入ると町の中心の広場にクリスマス市場が出ます。
が、クリスマス1週間前の土曜日にも関わらず、この静けさ!!
15くらいのお店のスタンドが、ひろばを囲むように出ていました。
ニースと同様、オーソドックスなお店に加え、
ユニセフのスタンドや、焼き栗やさんなども。



そして、広場の中心はスケート場に。
これはどのクリスマス市場でも恒例なようです。
カーニュは子ども限定。



カーニュのデコレーションはなぜか毎年エスキモーの家&白熊。
この中が子どもが入って遊べるようになっています。
クリスマスのデコレーションに大きな予算が割かれたときには
またテーマが変わってくるのかもしれません。




まだ温かく、落葉もせず、空も青い中ですが、
ちゃんとサンタさんもいます。




クリスマスを盛り上げるのは、通常は広告が張られているこの掲示板。
町のいろんなところにあり、この時期は子ども達が描いた絵が張り出されます。
これ、測ってはいないけど1メートル×2メートルくらいの結構大きいサイズ。
このサイズにばーんと絵を描けるフランスの子ども達の度胸は素晴らしく、
これを町中に張ろうという市役所の計らいも良いですね。
下のメッセージには
「上院議員兼市長・市議会議員・カーニュの学校の子ども達より。
皆さんにとって楽しい年の瀬となりますように。」と。


というわけで、ニース、カンヌ、モナコから車なら1時間以内という
字面的には華やかな立地でありながら、いつも村村しくしているカーニュシュルメール。
このローカルさがなんともかわいく、
ぜひいつまでもこの路線でいってほしいなと、思っています。

メリークリスマス!


2014年12月4日木曜日

並ばない○○人

海外あるあるの一つに「○○人は並ばない」ってのがありますよね。
たいていは、どこかの国の田舎の方に行ってみたら
並ぶ文化が無くて、見事に抜かされまくったとか、
逆にこっちも割り込んでみたとかで、笑い話になるのこの現象。
測ったかのようにビシっと並ぶのが身についている日本人としては
面白さあり、腹が立つのあり、並んだ方が色々効率良いのに、とおせっかいありと、
並ばない文化についてそれぞれ思うところがあることでしょう。

フランスは、というと、基本的には並ぶことが公衆マナーの一つとみなされていて、
小さいころから親にしつけられるケースが多いようです。

パン屋さんやタバコ屋さん等、短い時間ですが並ぶことになるのはよくあるし、
まあ、日本とルールは変わりません。

が、最初にこちらに来て戸惑ったのが「並び方」。
日本では、コンビニでもどういう風に並ぶか、床に線が引いてあったり、
レジごとに並ぶのか、いったん一列に並んで空いたレジに行くのか等
お店の形などからベストなものが指示されていることもあるくらい、
誰が次のお客さんか一目瞭然!
混ざっちゃったりしてもめるのを最小限に抑えられています。

一方のフランスは、小さいお店なんかでは一列に並んでいて
順番もはっきりしているのですが、
少し大きくなってくると、みなさんビシっとは並ばないから、ラインが崩れたり、
並んでるのか商品を見てるのか微妙に分からなくなってきます。

最初の頃はこれでどぎまぎしていたのですが、
なんだかすごいのは、並んでる人たちが
「自分は誰の後ろで、自分の後はこの人」ってのを把握している事!
自分の順番が分からなくなっちゃっても、
たいていは、「次、あなたでしょ」って言われたり、そういう雰囲気が醸し出されたりします。

目からうろこだったのが病院の待合室。
健康保険加入の際に、かかりつけ医師のサインが必要なためそれを取りに行った時の事。
待合室へは患者さんたちが勝手に入れて、受付などはなく、
お医者さんが「次の人ー!」呼びに来たら、自分の番の人が医師についていく、というシステム。
全部でマックス15人くらい待ってたかと思うのですが、
ここでは並んでるわけではなくて、みんな好きな椅子に座っているわけです。
えー?何これー?とまたしてもどぎまぎしていたのですが、
しばらく見ているとどうやらやっぱり、患者さんの間でうまく管理をしている模様。

半分くらいの人は、待合室に入るときに「どうもこんにちは」と皆さんにあいさつし、
「で、最後の人ってどなたですか?」と聞きます。
こうやって自分の直前の人を把握し、じゃああなたの次って覚えとけばいいわけね。
という形です。

残りの半分の人は、自分より後にに入ってくる人の顔を見ておいて、
自分の前にいた人・後にいた人を把握している感じでした。


ほー、すごいねー、ちゃんとできてるのねーと思っていたのですが、
ここで注意しなければな来のは
分かりにくいのにかこつけて、ちゃっかり割り込もうとする人もいる!ということ。
しかも結構な頻度で。

知らんぷりしてなんとな~く後ろから近づいてきて、気づいたら横に、
そして前に!みたいなことに出くわすケースがそこそこあります。
こういうのって、私が外国人だからされているとか言う感じでもなくて、
フランス人同士でも「ちょっと、あなた私の後ろだったでしょ」
なんて突っ込まれている人を見かけます。
見た感じ、本当にうっかりしていたのと、あわよくば割り込もうとしてるのと、半々かなぁ。

日本では割り込まれたときどうしてたっけ?と考えてみたのですが、
あまりそういう経験がなく、イメージが付きません。
私だったら、変な人・・・と思って触らずにほっておくかも。。。
こちらの場合、基本的には突っ込みます。あなた、ここじゃないでしょ、と。
といいますか、そんな突込みをするのも気分が悪いので、
そもそも割り込まれないように「ちゃんと見てるし分かってますよ」オーラを出して並んでいます。

と、そんなオーラを出して並ばなければならないなんて、
フランス生活ってストレスたまりそうー!って感じなのですが、
その「並ぶのにストレスが溜まる」の最大の例が県庁です。

外国人の滞在許可証の発行は県庁で行うため、
在仏の外国人は定期的にここへ出向かなければないのですが、
これがまたとってもストレスフルな場所なのです。
申請の内容もストレスだし、時間もストレスだし、対応もストレスだし・・・と
言いたいことは色々あるのですが、今回は並ぶことがテーマなのでそれに絞りましょう。

場合によっては2時間並んで順番のチケットをもらい、その後2時間待ち・・・
みたいなこともある県庁。
ひとり分でもショートカットしたい、と思う人もいるということでしょう。
どうやっても無理なのに、なんとか割り込もうとする人が一定数います。
そして周りの人に突っ込まれて終わると。
たまに、「いいじゃん、俺は質問だけだからすぐ終わるし」みたいな言い訳で
割り込み続けようとする人もいて、まぁ、ずいぶん肝座ってるなぁと。

今日も所用で県庁の支所なる所に行ってきました。
要件を伝えると「49番」と印刷されたチケットを渡されました。

銀行の窓口みたいな感じで、カウンターに2つ窓口があって、
奥でスタッフが作業しつつ、私たちはカウンター前の椅子に座って順番を待つという形。
ここは、外国人の滞在許可のようなヘビーな案件を扱う場所ではないので、
普段の待ち時間と比べると、さくさく進んでいる印象。
1人にかかる時間は、申請書をもらいに来た、みたいな人なら一瞬だし、
長くても5分くらいという感じ。

まあこれならすぐ順番になるわね、と待っていたところ、
その雰囲気を壊した男性が。
彼は自分が外している間に順番が来てしまって、受け付けてもらえなかったということのよう。
窓口に割り込んでいって「すいません、過ぎちゃったみたいなんですけど」と。
一枚書類が欲しかっただけ、みたいな用件だったため、
係りの人はちょっと渋ったものの、最終的には用紙を渡されて、去って行きました。

この流れに触発されたのか、5分後くらいに40歳くらいのスレンダーマダム。
「すみません、ちょっと質問なんですけど」と割り込んでいく!
係りの人が「いや、皆さん待ってるんで。順番で」と言っても、
マダム 「いや、一つ教えてほしいだけなんです」
係り   「質問しに来てる人も待ってるんだから。
      あなた何番?
      前にいる人全員に割り込んでいいか聞いてOKだったらやってあげる」

周りからは失笑が・・・。
あきらめて席についたマダムが隣の人に愚痴をこぼし始めたところで、

係り   「皆さん、チケットの順番で伺いますからね。
      1人終わるごとに先着順じゃおかしいでしょ。競走じゃないんだから。
      っていうか、こういうのって礼儀の問題でしょう」
するとマダムはまだめげず
      「いや、私、礼儀正しく言いましたよね、済みませんが、って!
       全員並ばなきゃならないのか、ちょっと聞くだけなら対応してもらえるのか
       知りたかったのよ!」
係り   「全員並んでもらってます」
マダム 「ほらね!これが私の質問よ!答えてくれたじゃない!」

と。
もうめちゃくちゃ。

一応おとなしくなったものの、
その後も部屋を行き来している別の係りの人に
「順番だから。待っててくださいね」と個別に声をかけられている有様。
自分の案件を終えて帰ろうという人も、係りの人に
「大変でしょうけど、頑張ってね」と言いつつ、完全に例のマダムへの嫌味。

申請を出す私たちも色々大変だけど、相手にする方も大変そうだわ。
と眺めつつ、静かになってきたと思いきや、またその5分後。

これまた40代くらいの男性。
「すいません、結構待ってるんだけど、まだですか?」と。
えー、またやるのー!?

係りA「あなた、何番?」
男性 「51番」

私が49番だから、同じくらい。そんなに待ってないと思うんだけど・・・

係りA「順番ですから、待っててください」
男性 「あり得ないでしょ、こんなに待たされて。はいはい、51番ですよ。
     そうやって、45番、46番、47番、100番、150番、って切り無いでしょ」

とこれまた謎の言い訳。
いや、あなた51番であって、150番じゃないし。
もうこの辺で笑ってしまいそうに。

係りB「はい、47番の人ー」
・・・現れない47番さん
男性 「来ないなら、僕のやってくださいよ」と立ち上がる
係りB「いや、47が来なければ48番の人ですから。」


私が到着してから退出するまで約30分。
フランスって、結構野性味あふれる国なんですよ。