2017年2月12日日曜日

読み心地爽快のミステリー小説 橘沙羅・横濱つんてんらいら

最近久しぶりに日本語の本をがっつり読んでいます。
といってもなかなかまとまった時間が取れず、
進みは遅いんですが。
でもやっぱり本を読むのは楽しいですね~。

そんな時我が家に舞い込んだ一冊。
橘沙羅(たちばなさら)さんという作家さんの
「横濱つんてんらいら」。

2016年秋に角川春樹小説賞を受賞した作品です。
この作家さん、なんとふらんぽんメンバーの一人loc-envelさんのお友達ということで、
フランスに送ってくれたという一冊をメンバー内でお借りしているところ。
発行ほやほやの日本の話題本が手に入るのはごくごく稀。
それだけでもとーってもありがたいお話ですね~!

お話はというと、17歳のおてんば娘が主人公。
やんちゃな幼馴染男子や、片言の日本語が可愛いアメリカ紳士、謎めいた美形中国人が彼女を取り囲んで進むストーリー・・・
という、キュンキュンな少女漫画タッチ。

明治初期の横浜が舞台、と凝った設定なので、このままただのラブストーリーに終わってしまったらつまんないかな~と思ってしまった前半(何様)。
からの、後半ハラハラサスペンスへの転換が見事。
裏の裏をかいてさらにひっくり返す!みたいな、ストーリーに振り回される感じが気持ちの良いお話でした。

なんだか不思議な気持ちになったのは、もうしばらく行ってない横浜の風景が思い出されたこと。
本では明治初期が舞台で、私の知ってる横浜は観光地化している現代の横浜なわけだけど、
それでも一日横浜で過ごすと、欧米風な景色があったり、その裏で本格的な中国の生活の雰囲気が垣間見れる場面があったり、やっぱり不思議な所。
そんな横浜がある日本から離れて暮らしている今、あの場所を舞台にしたストーリーを読んで、懐かしい気持ちになりました。
物語に出てくるみたいに、かつては色んな国籍の人が混ざり合ったリアルな生活があったんだろうな、とその場面が目に浮かんできて、気分がすっかりトリップ。
体がどこにあろうと、気持ちが別の所に飛んでいけるのが、本や映画など、物語の楽しい所。この本でも存分に満喫させてもらいました。

そしてもう一つ!
横濱といえば中華料理!
お話の前半で、美形中国男子のお誘いで美味しい本格中華料理を堪能するシーンがあります。
もうね、お腹すくよね。
深みのあるスープに、アツアツ、プルプルのわんたん・・・はぁ食べたい。

フランスで食べられる中華料理は、ファーストフード化してしまっていて、日本で食べるような、ましては中華街で食べるような本格中華とはは似ても似つかない・・・。
和食とはまた違う、種類も豊富な中華料理の濃厚ソースを想像して、胃袋も懐かしさを感じています。

主人公にとって未知の中華料理にまつわる描写がとっても上手だったこの作品。
今回のストーリーでは恋愛あり、グルメあり、サスペンスありで盛りだくさんになってしまっているのですが、一度ぜひグルメに特化した一冊をお願いしたいくらいです♪

ミステリーにドキドキさせられつつ、歴史のダイナミックさ&美味しいものに思いを馳せたりしたこのお話、日本を離れて海外に住んでいる人にこそオススメしたい一冊です。


アマゾン 横浜つんてんらいら(橘沙羅)

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